H26年11月からH27年10月の期間で、現在10人の胃がんの方が発見されています。550人の方が胃カメラ検査を受けられ、50歳代O-2から2人、60歳代O-2から6人、O-3から2人でした。
ピロリ未感染であるC-0及びC-1群、そしてO-1以上の萎縮の割合は、10歳代(N=5):60%、20%、20歳代:76%、9.5%、30歳代:60%、28%、40歳代:52%、35%、50歳代:33%、79%、60歳代:20%、71%、70歳代:11%、86%、80歳代:10%、85%でした。
ABC胃がんリスク検診にてC群と誤判定される方が目立っています。多くの方が胃カメラでC-0,C-1で内視鏡的にはA群と判定されるのが相当です。血液での胃がん検診としてのPG法から発展したABC検診ですので、PG法を排除することは不可能なのでしょう。
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胃がんについて
H25年11月からH26年10月迄の一年間で六人の胃がんの方が居ました。この一年間で470人の方が胃カメラを受けられ、木村竹本分類のO-2群より四名、O-3群より二名の胃がんの方が見つかりました。ピロリ菌感染陰性が示唆されるC-0群、C-1群は10才台~40才台の受診者の70%程で、50才台では48%、60才台では20%、70才台以上では15%程でした。O-1以上のオープンタイプの萎縮性胃炎の方の割合は、10~40才台では20%程、50才台で41%、60~70才台で70%強、80才台以上では85%以上でした。
ABC健診について
胃癌リスク健診としてABC健診の実施が増えてきています。個人的には現在のABC健診はPG法の成績から胃癌のリスクを正しく評価出来ないのではと心配しています。B群、C群だけでは無くD群からもA群へ混入することが有る印象を持ちます。一方で、胃カメラでは、木村・竹本分類による判定を行う事で、胃癌リスク健診を兼ねる事が出来ます。胃癌検診、胃癌リスク健診を兼ねる内視鏡検査を推奨します。胃カメラ検査に際してはピロリ菌の有無、胃癌の危険度を説明します。
RACに関連して
RACを認める胃体部粘膜は、そこにはピロリ菌陰性を示唆します.特に角上小弯に所見は大切だと思います。角部小弯のRACは判断が難しいです。幽門腺領域、胃底腺領域の境界が角部小弯ということになっていますが、観察中動きますし・・。除菌成功後の萎縮した粘膜にRAC様の粘膜が見られるようになる事も経験します。また、体部にRACを見ても萎縮した粘膜があり、急性炎症を示す発赤した粘膜等を認める場合にはピロリ陽性が示唆されると思います。micro的にRACを捕らえるだけでなく、macro的に萎縮の程度を木村・竹本分類に沿って診断することも肝心と思われます。
胃ポリープについて
胃のポリープには過形成性ポリープと胃底腺ポリープの2種類がよく観察されます。過形成性ポリープはピロリ菌との関連を指摘されて居ますので、このポリープを見たときには慢性胃炎の程度も併せてチェックする必要が有ります。一方の胃底腺ポリープ。これはRACを認める胃では体部や穹隆部に高率に見られます。RACを背景にし、慢性胃炎を認めない胃で、この胃底腺ポリープを認めた場合、今後の定期的な胃の検査は必要ないと判断されます。過形成ポリープの有る胃は胃がんリスクが有り、胃底腺ポリープの有る胃では胃がんリスクが無いと思います。
京都分類について
とても良く考えられていると思います。自験例ではO-2以上に該当する方に胃がんが認められていますので、オープンタイプ以上を一纏めにしている点には、どうかなと感じます。他のスコアはピロリ菌感染の有無を評価する項目となっています。胃がんリスクを評価するための分類と謳っています。評価したスコアがどのくらいの胃がんリスクが有るのか触れられて居ないようですが、これはこの分類を実施し、今後、明らかになっていくものと思われます。
個人的には、肉眼的観察により木村竹本分類の記載、ピロリ菌既感染か感染継続中かの記載、この二つで胃がんリスクを評価出来ると思います。たとえばO-2,HP(+)シンプルです。
C-2以上はHP感染が有りますので、C-2以上の萎縮でHP(-)の場合は既感染、除菌後を意味します。