胃がんの原因としてWHOがピロリ菌を指摘しています。殆どの胃がんがピロリ菌感染によると明らかにされています。
バリウムによる胃検診での胃がん発見率は大凡0.15%程度です。内視鏡健診での胃がん発見率は0.35%程度と言われています。
当院では、H25年11月からの1年間で6人の胃がんが見つかっています:発見率6/470=1.28% 更には、H26年11月からの1年間で10人の胃がんが見つかっています:発見率10/550=1.8% このような高い胃がん発見率には理由があります。
胃がんの原因は、多くがピロリ菌感染によりますが、ピロリ菌感染による胃の変化が胃カメラで分かるのです。萎縮性胃炎と言います。ピロリ菌が感染すると胃の粘膜は炎症を起こし(傷つくのです)、その炎症が治る過程で、胃粘膜は萎縮してしまいます。この萎縮の程度が酷い方程、胃がんのリスクが高いのです。そして何故かこの萎縮の仕方に共通性があり、これを発見された偉い先生が居ります。木村先生。木村・竹本分類と言います。以下に具体的にお示しします。
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C-1
写真は萎縮の無い胃で体下部から体中部小弯のRACを示しています。角部小弯のRACは判断に迷う事が少なくありません。この胃はピロリ感染陰性であり、胃がんのリスクがほぼ無いと言えます。
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C-3
萎縮が体部小弯を越え、噴門に向かっていますが、噴門を越えては居ません。胃がんのリスクが幾分生じています。ABC健診(私はこの健診には反対です)でいうB群相当でしょうか?
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O-1
萎縮が噴門を越えています。胃がんのリスクが高まっています。
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O-1
萎縮が噴門を越え、また前壁、後壁方向にも進行し、O-2へ進行気味です。胃がんリスクが一層高い状態です。
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O-1
先程の症例です。角部大弯を見下ろしています。萎縮した胃粘膜との境界が鮮明です。
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O-2
萎縮した胃粘膜が体部小弯側から前壁、後壁へ進行し、大弯に胃底腺粘膜が幾分保たれています。O-3に近いO-2。